一括借上げは会社によってはアウトです。
2021/01/25
こんにちは!
AXCISの臺原です。
アパート・マンションの新築建築の提案をするとき、様々な「サブリース・一括借上げ」の会社と競合することが多々あります。各社それぞれ特徴があり、会社によっては同じサブリース・一括借上げといったシステムでも良し悪しがはっきりとあります。
中には、事あるごとに「なぜ!?」と思う会社もあり、そういった会社との付き合いには、本当に気を付けなければなりません。
特に某企業(Z社とします)は色々と話題になっているので、安易に新規の契約をする人はいないと思いますが、オーナーさんも今後の選択肢の一つとして知っておいた方がよいかもしれません。
私の思った「なぜ!?」を紹介します。
これは、あくまで私が直に経験したことでひょっとしたら私の周りだけかもしれません。まあ、色々見てみても、こんな感じじゃないかと思います。
アパート建築で競合になった時の事
私のイメージですが、一括借り上げの業界トップ4社といえば、大東、積水、大和、東建です。この4社間では良く競合になります。そこで、たまにZ社と競合になることがありました。
びっくりしたのが、
例えば、私があるお客様に提案した内容(広島市の郊外)は、
カップル・ファミリータイプの8戸、駐車場12台の提案です。
Z社は16戸のシングルタイプ(約18㎡)で駐車場6台
同じ敷地に倍の戸数を提案してきました。
当然、私は事業提案する時、地域の特性やニーズをしっかりリサーチして、間取りや家賃、駐車場割合を考えて計画します。その調査の中で、この広さのシングルの選択は、まず有り得ない計画でした。
戸数が倍入っているので、確かに見た目の収支はいいです。いいですと云うよりは、良く見えるだけです。近い将来、どうなるか具体的に想像できます。
とても30年間、問題なく継続できる事業ではありません。Z社の営業マンも「10年で返済すれば大丈夫です。」と言っていたので、長期事業としてのスペックは無いと考えているのでしょうが、あまりにもハイリスクな提案です。本当に10年で返済が終わればよいですが、終わらなかったらどうにもなりません。最初の10年間ですら危ないと感じました。
追加のお金・費用がかかる。借上げ金額が減ってくる
普通は考えられない事なんですが、「入居が悪いから、人気が無いから」といって、築10年もたっていないのに追加設備を提案してきます。例をあげると、家具付きアパートや防犯システム等です。物件自体の利用価値をあげるのに、戦略としては悪いことではありませんが、意味もなく効果も薄いのに問答無用でオーナーにやらせます。その利用料、レンタル料の支払いとして、月々の支払額と相殺して、オーナーに借上げ賃料を払います。
先程の話しの続きになりますが、最初っからそのような事業計画をしているのだから、入居率は当然悪いです。多少設備投資したところで、根本的に何も変わりません。無駄な投資に終わってしまう可能性が高いです。
なんのための一括借上げ?
一括借上げの魅力は安定収益です。
管理会社に10~15%の管理費用を払う代わりに、月々の家賃収入が安定します。ただし、しっかりした管理会社と付き合うことが大前提です。
某会社もそう謳っています。
しかし、私がオーナーさんに相談を受けた時に、見せて頂いた内容は、
アパート10戸物件の支払賃料が固定337,500円、一戸当たり33750円です。
一部屋空いていたので、募集家賃を調べると、共益費込みで52000円、駐車場が6000円です。
単純に、悪く見ても10戸×50000円=50万円
90%の借上げ賃料だと、45万円です。駐車場も7台分42000円もあるのにひどい数字です。
色々な追加設備のレンタル料などが引かれて、この金額になるようです。「さらに、〇〇を付けてくれ」と言われているようで、それまでやると赤字になってしまいます。
一括借上げの解約ができない
予定していた収支やサービスが受けられなければ「サブリースは悪!自分で管理会社を探して、納得のいく会社に任せたい!」と当然オーナーさんは考えます。
そこで、借上げの解約を申し出るのですが、Z社では簡単に解約させてくれません。
2015年ころに賃貸借契約を巻き直しているようで、この契約の条項の中に「簡単に解約できませんよ。」と記されている条項があります。
この条項を元に解約を承諾しません。その当時、管理の解約件数が増えたので、このような対策をしたのだと思います。
もう信用できないから解約したいのに、契約書で縛り付けて解約させない。こんなことまでしてお客様をつなぎ止めて一体何になるのでしょうか。
それでも解約を迫ると、違約金の話になります。契約書がそうなっているので、どうしても違約金は必要になります。
その金額を提示してきますが、あまりにも高額でした。
最終的に弁護士に入ってもらい、提示額の20%の支払で解約が出来ましたが、余計な時間とお金がかかってしまいます。
その会社の一括借上げでは成り立たないので、オーナーさんは自分で何とかしようとしているのに、それすらゴネてくるなんてどこまで搾取したいのでしょうか。
売却しようと思っても・・・。
運営が厳しく、先々も不安な事業であれば売却を考えます。
不動産屋に依頼し売却の計画をしますが、
・買手が見つかり難いです。
事業計画に問題があるのですから、買う側も何が問題なのかわかります。また、融資が付き難く買手も限定されてしまいます。
・レントロールを作成しようにも、各部屋の家賃を教えてくれません。
現在の入居中の家賃などを、個人情報だからといって教えてくれません。賃料だけ教えてくれればいいと言っているのに、よくわからない対応です。何か教えたらまずいことでもあるのでしょうか。
・売却時に一括借上げは解約できるのか、もしくは引継ぎ契約できるのかの回答はしません。
その時の状況によるとの事です。
・オーナーチェンジで解約の方向で話を進めると、入居者を退去させると言います。
「自分の会社が入居者を入れたので、入居者は他の物件に移ってもらいます。」と言ってきます。入居者さんの生活スタイルを、どのように考えているのでしょうか。
・オーナーチェンジで借上げで話を進めると審査が必要とか言い出し時間がかかります。
一刻も早く売却したいのに、購入者の審査が必要とかで、えらい時間がかかります。
上記のように、やることなすこと何がしたいのかよくわかりません。
そんなことをして、お客さんをつなぎ止めても悪評しかたちませんし、もっとお客さんの心が離れて行ってしまいます。
結局は自分の事しか考えていない会社としか思えません。
一事が万事で、この様な会社の気質だから、色々な問題が出てくるのだと思います。
・終いには「自分の会社で売却の仲介をさせてくれ」と言います。
信用がなく、不安だから、このような売却の決断に至っているのです。オーナーさんは早く縁を切りたいと思っているのに、少し図々しく思わないのでしょうか。
もう少し、オーナーさんの気持ちを考えて頂きたいものです。
まとめ
不動産事業の失敗は、ほとんどが成るべくして起こります。安易に行うことなく、自分でしっかり調べて考えましょう。営業マンの良い話を真に受けてはいけません。責任を取るのは自分自身ですから。
また、一人で悩んで、考えるのが嫌になってふたをしても、何も解決はしません。事業に困っているようであれば、一日も早く詳しい人に相談しましょう。
本来不動産投資は、将来の安定収入につながる魅力的な投資であり事業です。